水やりの記録

本や映画などの感想です。自分に水をあげましょう。

「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」

greats2022.jp

 

 東京都美術館で、「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」を見てきました。

 スコットランド国立美術館のコレクション展示。ルネサンスバロック、グランド・ツアーの時代、19世紀の開拓者たちの4章構成。前半は国立新美術館の「メトロポリタン美術館展」と似た印象でしたが、後半にかけてイギリスの画家が増えていき、興味深かったです。

 印象に残ったのはミレイの《古来比類なき甘美な瞳》という作品。タイトルとは裏腹に、質素な服装で、なにかを悟ったようなどこかアンニュイな少女の肖像。「甘美な瞳」というタイトルとのギャップが気になりました。

 カタログによると、タイトルはエリザベス・バレット・ブラウニングの「カタリーナとカモンイス」という詩から引用したそう。その詩は死を前にしたカタリーナが恋人カモンイスへ、自分の瞳を「甘美な瞳」と称える彼の詩について書き送る場面とのことで、そうしたイメージが少女の質素ながらも凛とした美しさに重ね合わされているのかなと感じました。*1

 また、スコットランドということで、ジョン・マーティン《マクベス》もありました。魔女に出会う直前の場面だったけど、3人の魔女がまるでシヴァ神のようなポージングなのが面白かった。

 最後に展示されていたフレデリックエドウィン・チャーチの《アメリカ側から見たナイアガラの滝》は大迫力で、まるで滝のすぐそばにいるような臨場感がありました。右下の虹の透明感が美しかった。ナイアガラの滝、見てみたいなあ。

 スコットランド国立美術館は、当初国からの援助がなく、資産家の大口寄附で成り立っていたそう。その条件が自分の犬の絵を展示して、犬の世話をすることというのもなんだかお金持ちエピソード感が強い。エディンバラ城のふもとにあるそうで、いつか行ってみたいです。*2

*1:ちなみに、カモンイスとはルネサンス期のポルトガルの詩人で、19世紀にイギリスで起こったポルトガル・ブームの際に彼と彼の恋人カタリーナの悲恋を描いた伝記が大人気になったとのことです(高橋美帆,2011,「ヴィクトリア朝文学における〈修道女〉のテーマ―女性詩人の「連歌」をめぐる一考察― 」天理大学学報 62 (2), 1-31.)

*2:ところでこうした美術館の感想を書くとき、みなさん画像ってどうやって引用しているんでしょうか…